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◇序章「ナマスカ~、良い旅を♪」
エアインディアの機内アナウンスが心地好い。成田から8時間弱のフライトの後、ニュー・デリーで入国審査とトランジット、更に国内便で約2時間で目的地ムンバイに着く。そこはインド映画のメッカ、ボリウッド映画発祥の地。
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日本でインド映画といえば、去年スマッシュヒットした『ロボット』で健在振りを示したラジニカーント主演『ムトゥ 踊るマハラジャ』というのが大定番。だが、タミール語作品の『ムトゥ~』は、国内ではマイノリティに属する。
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今回の旅は、4月20日から公開されるムンバイ発の4作品をラインナップした「ボリウッド4」の魅力を探る取材行である。
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期待は膨らむばかり、三泊四日のムンバイ紀行「サラーム・ムンバイ ボリウッド映画を求めて」と題してレポートをお届けします。是非、ご一読ください。
「ボリウッド4」公式サイトはこちら
http://bollywood-4.com/
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◇ムンバイ街路から映画が見えてきた
我々を乗せたバスが街路を行く。ヨーロッパの高級車から現地生産の軽自動車、タクシーにオート・リクシャー、バイク、スクーター、自転車に人力車...。通りには様々な乗り物が溢れ、我先にと道路の隙間に突っ込んでいく。活気に溢れているというのは、ことムンバイに限ってはふさわしくない。ここで運転しろといわれたら、30分以内に事故ること必至。我先にという生存競争なのだ。渋滞は各地で目撃される現象だが、1秒に1人新生児が生まれるインドは、とにかく人が多く、狂騒も半端ない。
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ドアのない通勤電車やバスには、乗り切れない人々が片手乗りすることもざら。ある路線では年間3000人もの人々が事故で命を落としているらしい。生命力に満ちた混沌が道路狭しと溢れている。これぞボリウッド映画の勢いそのものではないか?
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ムンバイの映画館は、500~1,000人を収容する劇場型の映画館《シングルシアター》と、ショッピングセンター等にあるシネコン型の《マルチプレックスシアター》がある。シングルシアターの料金は、旧作を上映する老舗のエドワード劇場だと最低で30ルピー。他方、170度までフラットになるリクライニングシートがあるシネコン"Cinemax"では450ルピー、その格差はなんと15倍である。
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ランバ氏は、「もちろん、時代の変化で、筋書きで見せるノースターの作品も生まれ始めています」と前置きした上で、「ふたつの客層に楽しんでもらえる映画の秘訣は、面白さはもちろんですが、重要なブリッジ(架け橋)になるのが、シャー・ルクを筆頭とするスターの存在です。彼らが出演することによって、観客の期待値は間違いなく高まり、劇場に人が溢れるのです」と話す。銀幕スターという言葉がすっかり消えた感のある日本とは異なり、3大カーンを筆頭とするボリウッドは、ギャラと観客からの支持、その両面でスターシステムが確立されている。ごひいきのスターが登場する映画を、それぞれの鑑賞スタイルで楽しむ。映画王国の秘密は、こんな所に隠されていたのだった。
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「ボリウッド4」公式サイトはこちら
http://bollywood-4.com/
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